ずかんカード
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 用語 | 足場(あしば) |
| 英語 | Scaffolding |
| ひとことで | 高い所で安全に作業するために組み立てる、一時的な作業床と通路 |
| 関連用語 | 次世代足場/壁つなぎ/足場点検 |
| よく聞く度 | ★★★★★ |
この記事の要点
- 足場には、次世代足場・くさび式・枠組・単管などの種類があり、建物の高さや形で選ぶ
- 足場は、組立て・変更のあとや、悪天候・地震のあとに、指名された点検者が点検する
- 新人のうちに、各部の名前と、壁つなぎの決まりを覚えておくと役に立つ
ルーキー足場って、どれも同じに見えるんですけど、種類があるんですか?



実はたくさんあるんだ。
種類ごとに得意な場面があるから、現場に合わせて選んでいるんだよ。
「足場にはどんな種類があるの?」「足場の点検では何を見ればいいの?」と思っていませんか。
この記事では、建築の施工管理10年目の私が、足場の種類と特徴、各部の名前、点検のポイントを、図解と現場の体験談をまじえてやさしく解説します。
この記事でわかること
- 足場の種類と、それぞれの特徴
- 足場の選び方と、各部の名前
- 足場の点検のポイントと、法律の決まり
- 足場の計画で気をつけること
足場とは?
足場とは、高い所で安全に作業するために組み立てる、一時的な作業床と通路のことです。工事が終われば解体するので、「仮設(かせつ)」のものに分類されます。
建物の外側に組む外部足場と、建物の中に組む内部足場があります。
足場の種類と特徴


次世代足場
くさび式足場を改良した、新しいタイプの足場です。下の階から手すりを先に取り付けられる(手すり先行)ので、組立て中の墜落の危険を減らせます。また、1層の高さが高めにつくられていて、作業する人が頭をぶつけにくいのも特長です。
私の現場では、内部・外部ともに次世代足場を使うことが多いです。
くさび式足場(くさび緊結式足場)
支柱についた金具に、横材の先端の「くさび」をハンマーで打ち込んで固定する足場です。部材が少なく、組立て・解体が早いのが特長で、低層〜中層の建物でよく使われます。現場では「ビケ足場」と呼ばれることもあります。
枠組足場
門の形をした「建枠(たてわく)」を積み重ねて組む足場です。丈夫で、高い建物や大きな建物に向いています。現場では「ビテイ足場」と呼ばれることもあります。
ずかんメモ:「ビケ足場」と「ビテイ足場」は名前がよく似ていますが、ビケ足場=くさび式足場、ビテイ足場=枠組足場で、まったく別の足場です。どちらも、もとは製品の名前が呼び名として広まったものといわれています。
単管足場
鉄パイプ(単管)を、クランプという金具でつないで組む足場です。自由に組めるので、せまい場所や複雑な形の場所で使われます。
吊り足場
梁などから鎖で吊り下げてつくる足場です。地面から組めない場所(鉄骨の梁まわりなど)で使われます。
鉄骨の建方で使う安全設備については、鉄骨工事とは?の記事でくわしく解説しています。
脚立足場・可搬式作業台
内部の作業で、高さが低い場合は、脚立足場(脚立の間に足場板を渡したもの)や、可搬式作業台(持ち運びできる作業台)を使います。
足場の選び方
足場の種類は、次のことを基準に選びます。
- 建物の高さ
- 建物の形状
- 現状の地盤の形状(地面の高低差や傾きなど)



地面の形まで関係あるんですね!



そうなんだ。
足場は地面の上に立つから、地盤が平らでないと、組み方を工夫しないといけないんだよ。
足場の各部の名前
足場の点検や会話では、各部の名前がよく出てきます。まずは主な名前を覚えましょう。


| 名前 | 役割 |
|---|---|
| 建地(たてじ) | 足場の柱 |
| 作業床 | 作業する床。布板(ぬのいた)や踏板とも呼ぶ |
| 手すり | 墜落を防ぐための、上の横材 |
| 中桟(なかざん) | 手すりと床のあいだに入れる横材 |
| 幅木(はばき) | 床のふちに立てる板。物の落下を防ぐ |
| 壁つなぎ | 足場を建物につないで、倒れないようにする部材 |
| ジャッキベース | 足場の一番下で、高さを調整する金具 |
| 敷板 | ジャッキベースの下に敷き、足場の沈下を防ぐ板 |
| メッシュシート | 足場の外側に張る網。物の落下や飛散を防ぐ |
| 先行手すり | 次世代足場などで、外部側に先に取り付ける手すり |
ずかんメモ:私の現場の次世代足場では、外部側に「先行手すり+メッシュシート」、内部側(建物側)に「手すり+中桟+幅木」を設けています。
法律で決められている主な寸法
足場の作業床や手すりには、労働安全衛生規則で決まりがあります。
| 項目 | 決まり(主なもの) |
|---|---|
| 作業床の幅 | 40cm以上 |
| 床材と床材のすき間 | 3cm以下 |
| 床材と建地のすき間 | 12cm未満 |
| 手すり(枠組足場以外) | 高さ85cm以上の手すりと、中桟(高さ35〜50cm)を設ける |
| 幅木(物の落下を防ぐ) | 高さ10cm以上(メッシュシートなどでも可) |
ずかんメモ:枠組足場では、手すりのかわりに「交差筋かい+高さ15〜40cmの桟(または高さ15cm以上の幅木)」や「手すり枠」を設ける決まりになっています。
足場の点検
いつ・だれが点検する?
足場は、次のタイミングで点検します。
- 毎日、作業を始める前:手すりなどの墜落防止の設備が、外れたり落ちたりしていないか
- 組立て・一部解体・変更のあと
- 強風・大雨・大雪などの悪天候や、中震以上の地震のあと
2023年10月から、点検を行う人(点検者)をあらかじめ指名することが義務になりました。また、組立てや変更のあとの点検では、点検の結果と点検者の氏名を記録して保存することが必要です。
私の現場では、足場の組立て等作業主任者や、施工管理者等のための足場点検実務者研修を修了した人が点検を行います。
点検で見ているポイント


私が点検で見ているのは、次のポイントです。
- 手すり・中桟・幅木が付いているか
- 壁つなぎが付いているか
- メッシュシートが張られているか
- 布枠(床材)同士にすき間がないか
- 昇降階段が付いているか
- 足場の表示(最大積載荷重、昇降口の表示など)があるか
- ジャッキベースにゆるみがないか
- 打ち込みピンが入っているか
- 層間ネット(各層のあいだに張る、落下物を受けるネット)が張られているか
- 通路が確保されているか
ヒヤリとした経験:手すりが外されたままになっていた
以前、手すりが外されたままになっていたことがあります。
作業の都合で、手すりを一時的に外すことはあります。しかし、そのまま戻し忘れると、そこから墜落する危険があります。毎日の点検で、手すりが外れていないかを必ず確認しましょう。



手すりが外れたままだったら、本当に危ないですね…。



そうなんだ。
手すりを外したら、作業が終わったら必ず元に戻す。
これは全員で守るルールだよ。
作業の都合で手すりを一時的に外すときは、フルハーネスなどの墜落制止用器具を使うなどの対策をします。使い分けやフックのかけ方については、フルハーネスとは?の記事でくわしく解説しています。
足場の計画で気をつけていること
足場を計画するときは、次のことに気をつけています。
- 建物との離れ:建物と足場のあいだの距離。外壁の工事がしやすく、墜落の危険が少ない距離にする
- 近隣への配慮:となりの建物や道路への、物の落下や騒音などに気をつける
- 搬入口・荷取りステージの場所:資材を運び込む場所や、クレーンでつり上げた資材を受け取る台(荷取りステージ)をどこにするか
- 壁つなぎの設置場所:建物のどこに壁つなぎを取り付けるか
壁つなぎの間隔の決まり
壁つなぎは、足場が倒れないようにするための大事な部材です。労働安全衛生規則で、最大の間隔が決められています。


| 足場の種類 | 垂直方向 | 水平方向 |
|---|---|---|
| 単管足場 | 5m以下 | 5.5m以下 |
| 枠組足場(高さ5m未満のものを除く) | 9m以下 | 8m以下 |
| くさび緊結式足場(仮設工業会の基準・原則) | 5m以下 | 5.5m以下 |
単管足場と枠組足場は労働安全衛生規則、くさび緊結式足場は一般社団法人 仮設工業会の基準による値です。次世代足場は、メーカーの資料や仮設工業会の基準で確認します。
新人が足場について覚えておくとよいこと
埋め戻しの段階で、地盤を均しておく
足場は地面の上に立つので、足場が設置できるように、埋め戻しをした段階で地盤を均しておくことが大切です。基礎工事のときから、足場のことを考えておきましょう。
基礎工事の最初に行う、地面を掘る工事(根切り)については、根切り・山留めの種類と施工の流れの記事でくわしく解説しています。
壁つなぎの決まりと、計算の仕組みを知る
壁つなぎの本数は、計算によって変わります。労働安全衛生規則の最大間隔を覚えるとともに、仮設工業会が策定した計算の仕組みを知っておくと、足場の計画を理解しやすくなります。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 | ちがいのポイント |
|---|---|---|
| 本足場 | 建地を2列に立てた足場 | 幅1m以上の場所では、原則として本足場を使う |
| 一側足場(ひとかわあしば) | 建地を1列だけ立てた足場 | せまい場所で使う |
| ビケ足場 | くさび式足場の呼び名 | 部材が少なく、低層〜中層向き |
| ビテイ足場 | 枠組足場の呼び名 | 門形の建枠を積む。高い建物向き |
| 手すり | 墜落を防ぐ、上の横材 | 高さ85cm以上(枠組足場以外) |
| 中桟 | 手すりと床のあいだの横材 | 高さ35〜50cm |
| 幅木 | 床のふちに立てる板 | 物の落下を防ぐ |
まとめ
- 足場には、次世代足場・くさび式・枠組・単管・吊り足場などの種類がある
- 種類は、建物の高さ・形状・地盤の形状で選ぶ
- 作業床の幅や手すりの高さなど、労働安全衛生規則で決まりがある
- 点検は、指名された点検者が、毎日の作業前や、組立て・変更のあと、悪天候・地震のあとに行う
- 新人のうちに、各部の名前と、壁つなぎの決まりを覚えておく
足場は、現場の作業すべてを支える「安全の土台」です。毎日の点検で、全員が安心して作業できる足場を保ちましょう。
理解度チェック
Q1. 手すりを先に取り付けられる、くさび式足場を改良した新しいタイプの足場は?
答え:次世代足場です。
Q2. 足場の作業床の幅は、何cm以上と決められている?
答え:40cm以上です(労働安全衛生規則)。
Q3. 足場を建物につないで、倒れないようにする部材を何と呼ぶ?
答え:壁つなぎです。



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