ずかんカード
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 用語 | フルハーネス(墜落制止用器具) |
| 英語 | Full Body Harness |
| ひとことで | 高い所から落ちたときに、体を肩・胸・腿で支えて、命を守る道具 |
| 関連用語 | 胴ベルト型/ランヤード/ショックアブソーバー/特別教育 |
| よく聞く度 | ★★★★★ |
この記事の要点
- 墜落制止用器具は、フルハーネス型が原則。高さ6.75mを超える場所では、フルハーネス型を使う
- フックは、腰より高い、しっかりした場所にかける
- 使う前の点検と、交換時期を知っておくことが大切
ルーキー「ハーネス」と「安全帯」って、同じものですか?



現場では呼び分けていることが多いんだ。
体全体を支えるのが「ハーネス」、腰だけに巻くのが「安全帯(胴ベルト型)」だよ。
「フルハーネスと胴ベルトは、どう使い分けるの?」「何mからフルハーネスが必要なの?」と思っていませんか。
この記事では、建築の施工管理10年目の私が、フルハーネスの各部の名前、胴ベルト型とのちがい、使う高さの決まり、フックのかけ方、点検と交換時期を、図解でやさしく解説します。
この記事でわかること
- フルハーネスと胴ベルト型のちがい
- 使う高さの決まり(2019年の法改正)
- フックのかけ方のポイント
- 使う前の点検と、交換時期の目安
ずかんメモ:この記事は、厚生労働省の「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」などをもとにしています(2026年10月時点)。
フルハーネスとは?
フルハーネスとは、肩・胸・腿(もも)などをベルトで支える、全身タイプの墜落制止用器具です。
2019年2月の法改正で、それまでの「安全帯」は「墜落制止用器具」という名前に変わり、フルハーネス型が原則になりました。


| 名前 | 役割 |
|---|---|
| 肩ベルト・腿ベルト | 落ちたときに、体を肩と腿で支える |
| D環(ディーかん) | 背中についている金具。ランヤードをつなぐ |
| ランヤード | D環とフックをつなぐベルトやロープ |
| ショックアブソーバー | 落ちたときの衝撃をやわらげる部品 |
| フック | 足場などのしっかりした場所にかける金具 |
| 巻取器 | ランヤードを自動で巻き取る部品。たるみが少なく、落ちる距離をおさえられる |
胴ベルト型とのちがい
胴ベルト型は、腰だけにベルトを巻くタイプです。落ちたときに、体の重さが腰の一点にかかり、体がくの字に曲がったり、ベルトがずり上がって胸を圧迫したりするおそれがあります。
フルハーネスは、肩・胸・腿の全体で体を支えるので、落ちたときの体への負担が少なくなります。
ずかんメモ:現場では、フルハーネスを「ハーネス」、胴ベルト型を「安全帯」と呼び分けていることが多いです。
使う高さの決まり


| 高さ | 決まり |
|---|---|
| 2m以上 | 作業床がない場所や、作業床の端・開口部で手すりなどがつけられない場所では、墜落制止用器具を使う |
| 5m超 | 一般的な建設作業では、フルハーネス型の使用が推奨されている |
| 6.75m超 | フルハーネス型を使う |
| 6.75m以下 | フルハーネス型だと、落ちたときに地面に届いてしまうおそれがある場合は、胴ベルト型(一本つり)も使える |
ずかんメモ:低い場所でフルハーネスを使うと、ランヤードがのびる長さによっては、止まる前に地面に届いてしまうおそれがあります。そのため、6.75m以下では胴ベルト型も認められています。
私の現場のルール
私の現場では、ガイドラインにそって、次のように使い分けています。
- 高さ2m以上〜6.75m以下:胴ベルト型
- 高さ6.75m超:フルハーネス型
- 胴ベルト型を使うのは、高さ6.75m以下の足場の上での作業や、開口部の近くでの作業



高さによって、使う道具が変わるんですね!



そうなんだ。
迷ったときは、フルハーネスを選ぶのが基本だよ。
ガイドラインでも「フルハーネス型が原則」とされているからね。
フックのかけ方


フックをかけるときは、次のことに気をつけています。
- しっかりした場所にかける:足場など、落ちたときの力にたえられる場所
- 腰より高い位置にかける:低い位置にかけると、落ちる距離が長くなり、体への衝撃も大きくなる
- フックの主軸の方向に力がかかるようにかける:フックを横向きや斜めにかけると、フックが変形したり、外れたりするおそれがある
ずかんメモ:ショックアブソーバーには、第一種(腰より高い位置にかける場合)と第二種(足元にかける可能性がある場合。フルハーネス型と組み合わせる)があります。
使う前の点検と、交換時期


使う前の点検
使う前に、次のところを点検します。
- ベルトの傷・ほつれ
- ショックアブソーバーの状態(開いていないか、傷がないか)
- 金具・フックの変形
使う前の点検のほかに、半年を超えない間隔で定期点検を行うことも、ガイドラインで求められています。
交換時期の目安
フルハーネスのベルトは合成繊維でできているので、すり減りや紫外線で少しずつ弱くなります。
| 部分 | 交換の目安 |
|---|---|
| フルハーネス(ベルト部) | 3年 |
| ランヤード部 | 2年 |
ずかんメモ:この交換の目安は、日本安全帯研究会がすすめているものです(法律の決まりではありません)。点検で異常が見つかった場合は、期間にかかわらず、すぐに使うのをやめて交換します。
また、古い規格(2019年の改正前の規格)の製品は、2022年1月から使えなくなりました。
施工管理として確認していること
- KY活動のときに、着用を確認する
- フックをかけていない人には、声をかける
KY活動については、KY活動とは?の記事で、足場については、足場の種類とは?の記事でくわしく解説しています。
鉄骨の建方で使う親綱やコラムバンドなどの安全設備については、鉄骨工事とは?の記事で解説しています。
特別教育
高さ2m以上で作業床をつくるのがむずかしい場所で、フルハーネス型を使って作業をする人は、特別教育を受けなければなりません。
私の会社では、入社のときに特別教育を受けさせています。



特別教育を受けないと、フルハーネスを使った作業はできないんですね…。



そうなんだ。
正しく使えないと、せっかくの道具も命を守れない。
使い方を学ぶことも、安全の大事な一歩なんだよ。
私が使っているフルハーネス
私は、会社の標準装備品として支給されている、ミドリ安全の「メッシュハーネス」(巻取式・シングルランヤード)を使っています。
巻取式は、ランヤードのたるみが少なく、落ちる距離をおさえやすいのが特長です。
新人に伝えたいこと
買い替えのタイミングを知っておこう
安全装備の買い替えは、点検で異常が見つかったときと、使用期限(交換の目安)がきたときの2つです。
自分のフルハーネスを、いつから使っているかを把握しておき、交換のタイミングを逃さないようにしましょう。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 | ちがいのポイント |
|---|---|---|
| 墜落制止用器具 | 落ちたときに体を止める器具の、法律での名前 | フルハーネス型と胴ベルト型がある |
| フルハーネス(ハーネス) | 肩・胸・腿で体を支える全身タイプ | 原則はこちら。6.75m超では必ず使う |
| 胴ベルト型(安全帯) | 腰だけにベルトを巻くタイプ | 6.75m以下で使える |
| ランヤード | D環とフックをつなぐベルトやロープ | 1本(シングル)と2本(ダブル)がある |
| ショックアブソーバー | 落ちたときの衝撃をやわらげる部品 | 第一種・第二種がある |
まとめ
- 墜落制止用器具は、フルハーネス型が原則。6.75mを超える場所では、フルハーネス型を使う
- 一般的な建設作業では、5mを超える場所でフルハーネス型が推奨されている
- フックは、しっかりした場所の、腰より高い位置に、主軸の方向に力がかかるようにかける
- 使う前に、ベルト・ショックアブソーバー・金具とフックを点検する
- 交換の目安は、ベルト部3年・ランヤード部2年。異常があれば、すぐに交換する
フルハーネスは、万が一のときに命を守る最後のとりでです。正しく選んで、正しく使い、毎日点検する習慣をつけましょう。
理解度チェック
Q1. 高さ何mを超える場所では、フルハーネス型を使わなければならない?
答え:6.75mを超える場所です。
Q2. フックは、どんな位置にかけるのがよい?
答え:しっかりした場所の、腰より高い位置です。
Q3. 日本安全帯研究会がすすめる、フルハーネスのベルト部の交換の目安は何年?
答え:3年です(ランヤード部は2年)。


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