防水工事とは?アスファルト・シート・塗膜防水の違いと使う場所、施工管理のチェックポイントを図解でやさしく解説

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防水工事とは?アスファルト・シート・塗膜防水の違いと使う場所、施工管理のチェックポイントを図解でやさしく解説

ずかんカード

項目内容
用語防水工事(ぼうすいこうじ)
英語Waterproofing Work
ひとことで屋上やバルコニーなどから、建物の中に水が入らないようにする工事
関連用語アスファルト防水/シート防水/塗膜防水/ドレン/水張り試験
よく聞く度★★★★☆

この記事の要点

  • 防水には、アスファルト防水・シート防水・塗膜防水などがあり、場所によって使い分ける
  • 防水の前には、下地の乾燥・勾配・ドレンまわり・打継ぎ部の処理を確認する
  • 漏水はあとから原因を探すのが大変。施工前の下地の確認がいちばん大切
ルーキー

防水って、どれも同じじゃないんですか?

かぐや監督

じつは種類がたくさんあるんだ。
屋上、バルコニー、厨房など、場所によって使う防水がちがうんだよ。

「防水工事にはどんな種類があるの?」「監督は何を確認すればいいの?」と思っていませんか。

この記事では、建築の施工管理10年目の私が、防水の種類と使う場所、施工前・施工中・施工後の確認ポイント、雨のあとの注意点を、図解でやさしく解説します。

この記事でわかること

  • 防水工事の種類と、使う場所
  • 施工前に確認すること
  • 施工中・施工後に確認すること(重ね幅など)
  • 水張り試験と、雨のあとの注意点

ずかんメモ:この記事の数値は、国土交通省の「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」をもとにしています。実際の現場では、設計図書(特記仕様書など)を優先してください。

目次

防水工事とは?

防水工事とは、屋上やバルコニーなどから、建物の中に水が入らないようにする工事です。

コンクリートには、目に見えない小さなすき間やひび割れがあります。そのままでは雨水がしみこんでしまうので、表面に防水層をつくって水を止めます。

ずかんメモ:公共建築工事標準仕様書では、雨や雪が予想されるとき、下地の乾燥が不十分なとき、気温が低いとき、風が強いときなどは、防水の施工を行わないことになっています。

防水の種類と使う場所

私がこれまでの現場で使った防水と、使った場所は次のとおりです。

屋上にアスファルト防水や合成高分子系シート防水、バルコニーにウレタン塗膜防水や改質アスファルトシート防水、面積の狭いバルコニーにFRP防水、厨房にポリマーセメント系塗膜防水、エレベーターピットにケイ酸質系塗布防水を使うことを示した建物の断面図解
場所使った防水
屋上アスファルト防水、合成高分子系シート防水
バルコニーウレタン塗膜防水、改質アスファルトシート防水
面積のせまいバルコニーFRP防水
厨房ポリマーセメント系塗膜防水(その上に置き床・長尺シート仕上げ)
エレベーターピットケイ酸質系塗布防水

防水の種類と特長

種類どんな防水か特長
アスファルト防水溶かしたアスファルトとルーフィング(シート)を何層も重ねる層が厚く、信頼性が高い。屋上で多い
改質アスファルトシート防水アスファルトを改良したシートを張るバーナーであぶったり、裏の粘着層で張ったりする。溶かしたアスファルトを使わない
合成高分子系シート防水ゴムや塩ビなどのシートを張る軽くて、広い面に施工しやすい
ウレタン塗膜防水液状のウレタンを塗って、膜をつくる形が複雑な場所にも塗れる
FRP防水ガラス繊維で補強したプラスチックの膜をつくるかたくて強い。せまい場所に向く
ポリマーセメント系塗膜防水セメントと樹脂をまぜた材料を塗る上に床の仕上げをする場所で使われる
ケイ酸質系塗布防水コンクリートに塗って、すき間をふさぐ地下やピットなど、水圧がかかる場所

ずかんメモ:防水の工法はとても多いので、設計図書でどの工法が指定されているかを必ず確認します。

施工前に確認すること

防水工事でいちばん大切なのは、施工前の下地の確認です。

防水の施工前に、下地のコンクリートの乾燥状態と下地の状態、勾配、ドレンまわり、出隅・入隅、清掃状態、打継ぎ部の処理を確認することを示した図解
確認すること内容
下地の乾燥状態コンクリートが十分に乾いているか
下地の状態ひび割れ(クラック)や、でこぼこがないか
勾配水がドレン(排水口)に向かって流れるようになっているか
ドレンまわりドレンがきちんと取り付けられているか
出隅・入隅角の部分が、決められた形に仕上がっているか
清掃状態ゴミやほこりが残っていないか
打継ぎ部の処理コンクリートを打ち継いだ部分に、補強などの処理がされているか

ずかんメモ:公共建築工事標準仕様書では、アスファルト防水の下地の出隅・入隅は45°の面取りにすることになっています。コンクリートの打継ぎ部などは、テープとシートで増張り(補強)をします。

施工中・施工後に確認すること

防水層の重ね幅、立上り端部の押え金物とシーリングの納まり、ドレンまわりの補強、打継ぎ部の補強、材料の使用量を確認することを示した屋上の断面図解

私が施工中・施工後に確認しているのは、次のことです。

  • 重ね幅:シートやルーフィングが、決められた幅だけ重なっているか
  • 立上りの端部の納まり:壁に立ち上げた防水の端が、押え金物やシーリングで、きちんと止まっているか
  • ドレンまわりの処理:ドレンのまわりが補強されているか
  • 打継ぎ部の補強
  • 材料の使用量:決められた量の材料を使っているか(塗膜防水の厚さにかかわる)

重ね幅の決まり

防水の種類重ね幅(公共建築工事標準仕様書)
アスファルト防水100mm以上
改質アスファルトシート防水100mm以上
合成高分子系シート防水ゴム系は100mm以上、塩ビ系は40mm以上(熱などで溶かしてくっつける)
ウレタン塗膜防水塗り継ぎは100mm以上、補強布は50mm以上

水張り試験

設計図書に水張り試験がある場合は、陸屋根(平らな屋根)に水をためて、24時間そのままにして、漏れがないかを確認しています。

ルーキー

水をためて確かめるんですね!

かぐや監督

そうなんだ。
仕上げをする前に、実際に水で確かめておけば安心だよね。

施工計画書で気をつけていること

防水工事の施工計画書を作るときは、次のことに気をつけています。

  • 工法をまちがえない:防水の工法はとても多いので、設計図書の工法と合っているかを確認する
  • 検査シートを作っておく:あとから漏水が見つかることがないように、施工前・施工中・施工後の検査シートを作って、計画書に添付しておく

施工計画書については、施工計画書とは?の記事でくわしく解説しています。

雨のあとと、塗膜防水の注意点

下地の確認、防水層の施工、トップコート・保護、水張り試験、施工後の検査という防水工事の流れと、雨のあとの乾燥確認やウレタン塗膜防水の立入禁止などの注意点を示した図解

雨のあとは、下地の乾燥を確認する

雨のあとは、下地が十分に乾いているかをしっかり確認します。

乾燥が不十分なまま塗膜防水を施工すると、日に当たったときに、中の水分が蒸発して、防水層が浮いて(ふくれて)しまうことがあります。

ウレタン塗膜防水は、トップコートまで立入禁止

ウレタン塗膜防水は、乾いて固まるまでに時間がかかります。施工中に人が入ると、足跡がついてしまうので、トップコート(仕上げの保護塗装)の施工が終わるまで、ほかの業者さんは立入禁止にしています。

ルーキー

固まる前に歩かれたら、やり直しですね…。

かぐや監督

そうなんだ。
だから、立入禁止の表示と、ほかの業者さんへの周知が大切なんだよ。

新人に伝えたいこと

施工前の下地の確認を、確実に

屋根からの漏水があとから見つかると、どこから漏れているのかを見つけるのがとても大変です。

だからこそ、施工前から下地の状況を確認して、クラック(ひび割れ)や打継ぎの処理を確実に行っておくことが大切です。確認した内容は、工事写真にも残しておきましょう。工事写真については、工事写真とは?の記事でくわしく解説しています。

混同しやすい用語

用語意味ちがいのポイント
アスファルト防水アスファルトとルーフィングを重ねる防水屋上で多い。層が厚い
シート防水ゴムや塩ビなどのシートを張る防水合成高分子系シート防水ともいう
塗膜防水液状の材料を塗って膜をつくる防水ウレタン、FRP、ポリマーセメント系など
塗布防水コンクリートに塗って、すき間をふさぐ防水ケイ酸質系。地下やピットで使う
ドレン屋上やバルコニーの排水口まわりの補強が大切
水張り試験水をためて漏れがないかを確かめる試験設計図書にある場合に行う

まとめ

  • 防水には、アスファルト防水・シート防水・塗膜防水・塗布防水などがあり、場所によって使い分ける
  • 施工前は、下地の乾燥・状態、勾配、ドレンまわり、出隅・入隅、清掃、打継ぎ部の処理を確認する
  • 施工中・施工後は、重ね幅、立上りの端部、ドレンまわり、材料の使用量を確認する
  • 雨のあとは乾燥を確認し、ウレタン塗膜防水はトップコートまで立入禁止にする
  • 漏水はあとから探すのが大変。施工前の下地の確認を確実に

防水は、仕上がると見えなくなりますが、建物を雨から守るとても大切な工事です。施工前の確認を、ていねいに行っていきましょう。

理解度チェック

Q1. 面積のせまいバルコニーで使われることが多い、かたくて強い防水は?

答え:FRP防水です。

Q2. 雨のあと、下地が乾いていないまま塗膜防水を施工すると、どうなる?

答え:日に当たったときに、防水層が浮いて(ふくれて)しまうことがあります。

Q3. ウレタン塗膜防水で、ほかの業者さんを立入禁止にするのは、いつまで?

答え:トップコートの施工が終わるまでです。

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