ずかんカード
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 用語 | LGS(エルジーエス)・軽量鉄骨下地 |
| 英語 | Light Gauge Steel |
| ひとことで | 薄い鋼板でつくった、壁や天井の「骨組み」。この上にボードを張って、壁や天井ができる |
| 関連用語 | 軽鉄(けいてつ)/軽天(けいてん)/スタッド/ランナー/野縁(のぶち)/石こうボード |
| よく聞く度 | ★★★★★ |
この記事の要点
- LGSは、壁や天井の骨組み(下地)。壁はスタッドとランナー、天井は吊りボルト・野縁受け・野縁でつくる
- 間隔などの決まりは、公共建築工事標準仕様書にそって確認する
- LGSは仕上げると見えなくなる。ボードを張る前に、設備の仕込みと工事写真を忘れずに
ルーキー「LGS」「軽鉄」「軽天」って、ぜんぶ違うものですか?



じつは、どれも同じものを指していることが多いんだ。
私の現場でも、3つとも使っているよ。
「LGSって何?」「ボードの種類がたくさんあって、わからない」と思っていませんか。
この記事では、建築の施工管理10年目の私が、LGS(軽量鉄骨下地)の各部の名前、壁と天井の下地の決まり、ボードの種類、施工管理として確認していることを、図解でやさしく解説します。
この記事でわかること
- LGSの各部の名前(壁・天井)
- 壁と天井の下地の、間隔などの決まり
- 石こうボードの種類と記号(GB-R・GB-F・GB-S)
- ボードを張る前に、施工管理が確認していること
ずかんメモ:この記事の数値は、国土交通省の「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」をもとにしています。実際の現場では、設計図書(特記仕様書など)を優先してください。
LGSとは?
LGS(エルジーエス)とは、薄い鋼板を折り曲げてつくった、壁や天井の骨組み(下地)のことです。「Light Gauge Steel」の頭文字で、日本語では「軽量鉄骨下地」といいます。
現場では、LGS・軽鉄(けいてつ)・軽天(けいてん)と、いろいろな呼び方をします。私の現場では、3つとも使っています。
LGSの骨組みに石こうボードを張ると、壁や天井ができあがります。


壁の下地の部材
| 名前 | 役割 |
|---|---|
| ランナー | 床と天井(スラブ下・梁下)に固定する、コの字形のレール |
| スタッド | ランナーに差し込んで立てる、縦の柱 |
| 振れ止め | スタッドを横につないで、ぐらつきを止める部材 |
| スペーサー | スタッドの中に入れて、形をくずれにくくし、振れ止めを押さえる部品 |
天井の下地の部材
| 名前 | 役割 |
|---|---|
| 吊りボルト | 上の階のスラブなどから吊り下げる、ねじの棒 |
| ハンガー | 吊りボルトの下について、野縁受けを引っかける金物 |
| 野縁受け(のぶちうけ) | 野縁を受ける、太めの横材 |
| 野縁(のぶち) | ボードを直接留める、細い横材 |
| クリップ | 野縁を野縁受けに留める金物 |
ずかんメモ:壁も天井も、同じ業者さん(LGSの業者さん)がつくることが多いです。
壁の下地の決まり
壁のLGSは、床と天井にランナーを固定し、そこにスタッドを差し込んで立てていきます。


| 項目 | 決まり(公共建築工事標準仕様書) |
|---|---|
| ランナーの固定 | 端部を押さえ、間隔900mm程度に打込みピンなどで固定 |
| スタッドの間隔 | ボードを直接張る場合は300mm程度、下地張りのある場合は450mm程度 |
| 振れ止め | 床のランナーの下端から約1.2mごと |
| スペーサー | スタッドの端部を押さえ、間隔600mm程度 |
スタッドのサイズ
スタッドには、幅によっていくつかの種類があります。壁の高さが高いほど、太いスタッドを使います。
| 種類 | 使える高さの目安 |
|---|---|
| 50形 | 2.7m以下(ボードを片面だけ張る場合) |
| 65形 | 4.0m以下 |
| 90形 | 4.0mを超え4.5m以下 |
| 100形 | 4.5mを超え5.0m以下 |
私の現場では、65形と100形をよく使います。
ドアまわりの開口補強
ドアなどの開口部のまわりには、開口補強を入れます。ドアの枠をしっかり取り付けるための、太い補強材です。
私の現場では、SD(スチールドア)やLSD(軽量鋼製ドア)の開口補強が入っているか、ドア枠を溶接できるようになっているかを確認しています。
ずかんメモ:縦の補強材は、上は梁下やスラブ下まで届かせて、上下とも固定するのが決まりです。
開口補強の位置は、内装の墨出しで床に書き込みます。墨出しについては、墨出しとは?の記事でくわしく解説しています。
天井の下地の決まり
天井のLGSは、上の階のスラブから吊りボルトを下げ、野縁受けと野縁を組んでつくります。


| 項目 | 決まり(公共建築工事標準仕様書) |
|---|---|
| 吊りボルト・野縁受けの間隔 | 900mm程度。まわりの部分は、端から150mm以内 |
| 野縁の間隔 | ボードを直接張る場合は300mm程度、下地張りのある場合は360mm程度 |
| 野縁のはね出し | 野縁受けから150mm以上はね出してはいけない |
| 開口部 | 照明や点検口のために野縁などを切ったときは、同じ材料で補強する |
| ふところが1.5m以上 | 吊りボルトの振れ止め(水平補強・斜め補強)を入れる |
ふところが大きいときは、振れ止めを確認
天井の「ふところ」とは、天井とその上のスラブのあいだの空間のことです。
ふところが大きいと、吊りボルトが長くなり、天井が揺れやすくなります。そのため、吊りボルトどうしをつなぐ振れ止めを入れます。私の現場では、ふところが大きいところで、振れ止めが入っているかを必ず確認しています。
ずかんメモ:公共建築工事標準仕様書では、ふところが1.5m以上の場合、水平補強を縦横1.8m程度、斜め補強を縦横3.6m程度の間隔で入れることになっています。ふところが3mを超える場合は、特記(設計図書)によります。



天井の中にも、たくさんの決まりがあるんですね!



そうなんだ。
天井が落ちたら大変だからね。
見えなくなる部分だからこそ、しっかり確認するんだよ。
石こうボードの種類
LGSの上には、石こうボードを張ります。石こうボードには種類があり、図面では記号で書かれています。
| 記号 | 名前 | 特長・使う場所 | 私の現場でよく使う厚さ |
|---|---|---|---|
| GB-R | 普通石こうボード | いちばん一般的なボード | 9.5mm・12.5mm |
| GB-F | 強化石こうボード | 火に強い。防火の壁や天井 | 12.5mm・25mm |
| GB-S | シージング石こうボード | 水や湿気に強い。トイレや洗面所など | 12.5mm |
ずかんメモ:「GB」は Gypsum Board(石こうボード)の頭文字です。記号は、JIS(日本産業規格)で決められています。
ボードを留めるビスの間隔
ボードをLGSに直接張るときの、ビス(小ねじ)の間隔も決まっています。
| 場所 | ボードのまわり | ボードの中間 |
|---|---|---|
| 天井 | 150mm程度 | 200mm程度 |
| 壁 | 200mm程度 | 300mm程度 |
防火・遮音の壁は「スラブtoスラブ」
界壁(となりの住戸との境の壁)、防火壁、遮音壁などは、壁を天井の高さで止めずに、上の階のスラブ下まで立ち上げます。現場では「スラブtoスラブ」と呼んでいます。
天井の上にすき間があると、そこから火や音が回ってしまうためです。こうした壁では、ボードを2枚張りにしたり、壁の中にグラスウール(断熱・吸音材)を入れたりします。
ボードを張る前に、設備と調整する
LGSの工事で、施工管理がいちばん気をつけるのが、ボードを張る前の段取りです。


スタッドを立てたあと、私の現場では次のように進めています。
- 墨出しをする:配管・コンセントボックス・器具などの位置を出す
- 設備の仕込みをする:配管やコンセントボックス、ペーパーホルダーや手すりなどの補強を、壁の中に入れておく
- それまでボードを張らないよう指示する:仕込みが終わる前にボードを張られないよう、LGSの業者さんに伝えておく
ボードを張ってしまうと、壁の中に配管や補強を入れるのは大変です。「仕込みが終わるまでボードは待って」と、はっきり伝えておくのが大切です。



ボードを張ったあとで、補強が入っていないとわかったら大変ですね…。



そうなんだ。
張ったボードをはがしてやり直すことになる。
だから、張る前の確認がとても大事なんだよ。
施工管理として確認していること
公共建築工事標準仕様書にそって、次のことを確認しています。
| 場所 | 確認していること |
|---|---|
| 天井 | 吊りボルトの間隔、野縁の間隔、野縁のはね出し(150mm以下)、開口部の補強、ふところが大きい場所の振れ止め |
| 壁 | ランナーの打込みピンの間隔、スタッドの間隔、振れ止め、スペーサーの間隔、開口補強 |
| 防火・遮音の壁 | スラブ下まで立ち上がっているか、ボードの厚み・規格、グラスウールが入っているか |
新人に伝えたいこと
見えなくなる部分こそ、工事写真をしっかり撮ろう
LGSは、ボードを張ると仕上げには出てこない、見えなくなる部分です。あとから確認できないので、工事写真をしっかり撮っておくことが大切です。
とくに、防火区画や遮音区画の壁は大事です。
- グラスウールが入っているか
- ボードの厚み・規格(GB-Fなど)は正しいものか
を確認して、写真に残しておきましょう。
工事写真の黒板の書き方や撮り方のコツは、工事写真とは?の記事でくわしく解説しています。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 | ちがいのポイント |
|---|---|---|
| LGS・軽鉄・軽天 | 軽量鉄骨でつくる、壁や天井の下地 | 現場ではどれも同じものを指すことが多い |
| スタッド | 壁の下地の、縦の柱 | 壁の部材 |
| ランナー | スタッドを差し込む、上下のレール | 壁の部材 |
| 野縁 | ボードを留める、天井の細い横材 | 天井の部材 |
| 野縁受け | 野縁を受ける、天井の太めの横材 | 天井の部材。吊りボルトから吊る |
| 振れ止め | 揺れやぐらつきを止める部材 | 壁ではスタッドをつなぎ、天井では吊りボルトをつなぐ |
まとめ
- LGSは、壁や天井の骨組み。現場では「軽鉄」「軽天」とも呼ぶ
- 壁はランナーとスタッド、天井は吊りボルト・野縁受け・野縁でつくる
- 間隔などの決まりは、公共建築工事標準仕様書にそって確認する
- ボードは、GB-R(普通)・GB-F(強化)・GB-S(シージング)を場所によって使い分ける
- ボードを張る前に、墨出しと設備の仕込みを終わらせ、工事写真を撮る
LGSは、完成すると見えなくなりますが、壁や天井をしっかり支える大切な骨組みです。見えなくなる前の確認と写真を、習慣にしていきましょう。
理解度チェック
Q1. 壁の下地で、スタッドを差し込む上下のレールを何と呼ぶ?
答え:ランナーです。
Q2. 天井の野縁は、野縁受けから何mm以上はね出してはいけない?
答え:150mmです。
Q3. 強化石こうボードの記号は?
答え:GB-Fです(火に強く、防火の壁や天井に使います)。


コメント