ずかんカード
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 用語 | 工程表(こうていひょう) |
| 英語 | Construction Schedule |
| ひとことで | 工事の順番と日程を、ひと目でわかるように表した表 |
| 関連用語 | バーチャート/ネットワーク工程表/クリティカルパス |
| よく聞く度 | ★★★★★ |
この記事の要点
- 工程表は、工事の「順番」と「日程」を表した、現場の計画表
- よく使うのは、作りやすいバーチャートと、作業のつながりがわかるネットワーク工程表
- ネットワーク工程表を使うと、遅らせてはいけない作業の流れ(クリティカルパス)がわかる
ルーキー工程表って、横に棒が並んでいる表のことですよね?



それも工程表の一つだね。
実は工程表にはいくつか種類があって、現場では使い分けているんだ。
「工程表にはどんな種類があるの?」「バーチャートとネットワーク工程表は何が違うの?」と迷っていませんか。
この記事では、建築の施工管理10年目の私が、工程表の種類と違いを、図解と現場での使い方をまじえてやさしく解説します。
この記事でわかること
- 工程表の種類(バーチャート・ネットワーク・ガントチャート・曲線式)
- バーチャートとネットワーク工程表の違い
- ネットワーク工程表の読み方と、クリティカルパス
- 現場での、全体・月間・週間工程表の使い分け
工程表とは?
工程表とは、工事の「どの作業を」「どの順番で」「いつからいつまで行うか」を、ひと目でわかるように表した表です。
施工管理とは?の記事で紹介した4大管理のうち、工程管理のいちばんの道具になります。
工程表がないと、現場はどうなる?
建物は、たくさんの職人さんが作業を順番に引き継いでつくります。もし工程表がなければ、次のようなことが起こります。
- 職人さんが「いつ現場に入ればいいか」がわからない
- 前の作業が終わっていないのに、次の職人さんが来てしまう
- 材料の発注が遅れて、作業が止まってしまう
工程表は、現場にいる全員が同じ予定を見て動くための「共通の地図」です。
工程表の種類(主なものは4つ)
工程表は、形によって主に次の4つに分けられます。
バーチャート工程表
縦に作業名、横に日付をとって、作業する期間を横棒(バー)で表した工程表です。
- いいところ:作りやすく、「いつ・何をするか」がひと目でわかる
- 苦手なところ:作業どうしのつながり(どの作業が終わらないと次に進めないか)がわかりにくい
ネットワーク工程表
作業を矢印、作業の区切りを丸で表し、作業の順番とつながりを網の目のように表した工程表です。
- いいところ:作業のつながりと、遅らせてはいけない作業の流れ(クリティカルパス)がわかる
- 苦手なところ:作るのに手間と慣れが必要
ガントチャート工程表
縦に作業名、横に各作業の達成度(%)をとって、進み具合を横棒で表した工程表です。
- いいところ:それぞれの作業が何%終わっているかがわかる
- 苦手なところ:日程や、作業どうしのつながりはわからない
曲線式工程表(Sカーブ)
縦に工事全体の出来高(どれだけ進んだか)の累計、横に工期をとって、予定と実績をグラフの線で比べる工程表です。線がアルファベットのSのような形になることから、「Sカーブ」とも呼ばれます。
- いいところ:工事全体が、予定より進んでいるか遅れているかがわかる
- 苦手なところ:どの作業が遅れているかまではわからない
ずかんメモ:「バーチャート」と「ガントチャート」は、見た目がよく似ています。横軸が日付ならバーチャート、達成度(%)ならガントチャートです。施工管理技士の試験でもよく出るポイントです。
バーチャートとネットワーク工程表の違い
現場でよく使われるのは、バーチャートとネットワーク工程表の2つです。同じ基礎工事を、2つの工程表で描いてみました。


| 比べるところ | バーチャート | ネットワーク工程表 |
|---|---|---|
| 作りやすさ | 作りやすい | 手間と慣れが必要 |
| 日程(いつ・何をするか) | ひと目でわかる | 読み取りに慣れが必要 |
| 作業のつながり | わかりにくい | よくわかる |
| クリティカルパス | わからない | わかる |
| 向いている場面 | 作業の種類が少ない工事、短い期間の計画 | 作業の種類が多い工事、工事全体の計画 |



バーチャートのほうが、ぱっと見てわかりやすいですね!



そうだね。
でも、作業の種類が多い現場ほど、ネットワーク工程表の「つながりがわかる」強みが効いてくるんだ。
ネットワーク工程表の読み方(はじめての人向け)
ネットワーク工程表は、3つの記号を覚えれば読めるようになります。


丸・矢印・点線の意味
- 丸(結合点・イベント):作業の区切り。番号をつけて「①」「②」と呼びます
- 矢印(作業・アクティビティ):1つの作業。矢印の上に作業名、下に日数を書きます
- 点線の矢印(ダミー):作業も日数もない、「順番」だけを表す矢印です
例の図では、「型枠」は「基礎配筋」と「スリーブ入れ」の両方が終わらないと始められません。その順番を表すために、点線の矢印(ダミー)を使っています。
クリティカルパスとは
クリティカルパスとは、工事のはじめから終わりまでの流れのうち、いちばん日数がかかる流れのことです。この流れの作業が1日遅れると、工事全体の完成も1日遅れます。つまり、「いちばん遅らせてはいけない作業の流れ」です。


例の図では、根切り → 地業 → 基礎配筋 → 型枠 → 打設 → 埋戻しの流れが合計16日で、いちばん長い流れ(クリティカルパス)になります。
フロート(余裕日数)とは
クリティカルパス以外の作業には、少し遅れても全体の工期に影響しない「余裕」があります。この余裕の日数をフロートといいます。
例の図では、「スリーブ入れ」(2日)は「基礎配筋」(4日)と同時に進められるので、2日の余裕(フロート)があります。
ずかんメモ:試験では、フロートを「トータルフロート」「フリーフロート」などに分けて計算する問題も出ます。まずは「クリティカルパスの作業は余裕ゼロ、それ以外の作業には余裕がある」と覚えておけばOKです。
期間で分ける工程表(全体・月間・週間)
工程表は、形だけでなく「どのくらいの期間を表すか」でも分けられます。私の現場では、次のように使い分けています。


| 工程表 | 表す期間 | いつ作る | だれが作る |
|---|---|---|---|
| 全体工程表 | 工事のはじめから完成まで | 工事の契約時 | 所長、または次席(監理技術者・主任) |
| 月間工程表 | 翌月の1か月分 | 毎月(月末の定例会議に提出) | 監理技術者・主任 |
| 週間工程表 | 1週間分 | 月間工程表を出さない回の定例会議 | 監理技術者・主任 |
全体工程表は、工事全体のクリティカルパスを把握するために、ネットワーク工程表で作っています。月間工程表は、ネットワーク工程表で作るか、作業の種類が少ない現場ならバーチャートで作ります。
たとえば今月が10月なら、10月末の定例会議(工事関係者が集まって、定期的に行う打ち合わせ)に11月の工程表を提出できるように作成します。
工程表を作るのに使っているのは、以前はExcel、最近は工程表を作るソフト(現場ナビ工程)です。
現場での工程表の使い方
毎週月曜日の職長打ち合わせで確認する
毎週月曜日の職長打ち合わせでは、月間工程表を見ながら、各作業の進み具合を確認しています。遅れに早く気づくほど、打てる手は増えます。
工程表を作るときに気をつけていること
いちばん気をつけているのは、作業の抜け漏れです。特に、機械設備(給排水・空調など)や電気設備の作業は、抜けやすいので注意しています。
そのため、工程表を作るときは、各施工業者さんに次のことを確認しています。
- 作業の順番(この日はどこで作業するか、どこから攻めるか)
- 作業にかかる日数
失敗談:設備の作業を見落として、職人さんに負担をかけた
以前、工程表を作るときに、機械設備・電気設備の作業を見落としてしまったことがあります。
壁の配筋が終わったあとには、スリーブ(配管を通すために、コンクリートの壁や床にあらかじめ入れておく筒)入れや、電気の配管をする時間が必要です。ところが、その日数が足りていなかったため、型枠返し(壁の反対側の型枠を立てて、ふさぐ作業)に追われる形になり、設備の職人さんたちに負担をかけてしまいました。
工程表に書かれていない作業には、時間が用意されません。だからこそ、作業の抜け漏れのチェックが大切です。



設備の作業って、見落としやすいんですね…!



建築の作業ばかり見ていると、つい抜けてしまうんだ。
工程表を作るときは、設備業者さんにも必ず確認しよう。
新人が工程表を読めるようになるコツ
コツは、大まかな作業の流れを覚えておくことです。現場が変わっても、作業の順番はだいたい同じだからです。
たとえば、基礎工事と内装工事は、次のような流れで進みます。
- 基礎工事:根切り → 地業 → 基礎配筋 → 型枠 → コンクリート打設 → 脱型 → 埋め戻し
- 内装工事:LGS → ボード張り → 塗装やクロスの仕上げ → 家具の設置
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 根切り | 基礎をつくるために、地面を掘ること |
| 地業 | 砕石を敷いて締め固めるなど、基礎の下の地盤を整えること |
| 脱型 | 固まったコンクリートから、型枠を外すこと |
| 埋め戻し | 掘った部分を、土で埋め戻すこと |
| LGS | 軽量鉄骨でつくる、壁や天井の下地 |
流れが頭に入っていると、工程表を見たときに「次はこの作業だな」「この作業が遅れると、あの作業にも影響するな」と、先を読めるようになります。
ネットワーク工程表の読み方も、施工管理技士の試験と実務で同じです。現場で毎日見ているうちに、自然と身につきます。



覚えることがいっぱいだなぁ…。



大丈夫!
毎日工程表を見ていれば、流れは自然と頭に入ってくるよ。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 | ちがいのポイント |
|---|---|---|
| バーチャート | 横軸に日付をとり、作業期間を棒で表す | 日程がわかる |
| ガントチャート | 横軸に達成度(%)をとり、進み具合を棒で表す | 日程はわからない |
| クリティカルパス | いちばん日数がかかる作業の流れ | 遅れると全体の工期が遅れる |
| フロート | 作業の余裕日数 | クリティカルパス上の作業はゼロ |
| ダミー | 作業も日数もない、点線の矢印 | 順番だけを表す |
まとめ
- 工程表は、工事の順番と日程を表した、現場の「共通の地図」
- バーチャートは作りやすく見やすい。ネットワーク工程表は、作業のつながりとクリティカルパスがわかる
- 現場では全体・月間・週間の工程表を使い分け、毎週進み具合を確認する
- 工程表を作るときは、設備の作業などの抜け漏れに注意する
工程表が読めるようになると、現場の「次」が見えるようになります。施工管理ずかんでは、工程表に出てくる「根切り」「配筋」「型枠」などの用語も、一つずつ解説していきます。
理解度チェック
Q1. 横軸に日付をとるのは、バーチャート? ガントチャート?
答え:バーチャートです。ガントチャートは、横軸に達成度(%)をとります。
Q2. クリティカルパスとは何ですか?
答え:工事のはじめから終わりまでで、いちばん日数がかかる作業の流れです。この流れの作業が遅れると、工事全体の完成も遅れます。
Q3. ネットワーク工程表で、点線の矢印(ダミー)は何を表しますか?
答え:作業の順番だけを表します。作業そのものや日数はありません。






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