ずかんカード
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 用語 | 施工管理(せこうかんり) |
| 英語 | Construction Management |
| ひとことで | 建物を「品質よく・予算内で・期日までに・安全に」完成させるために、工事全体をまとめる仕事 |
| 関連用語 | 現場監督/4大管理(QCDS)/施工管理技士 |
| よく聞く度 | ★★★★★ |
この記事の要点
- 施工管理は、職人さんが工事しやすいように段取りを整え、工事全体をまとめる仕事
- 中心になるのは「品質・原価・工程・安全」の4大管理(QCDS)
- 国家資格「建築施工管理技士」を取ると、任される仕事の幅が広がる
ルーキー施工管理って、現場で何をしている人なんですか?
自分で工事はしないんですよね?



そう、自分で工事はしないよ。
でも、工事がうまく進むかどうかは、施工管理の腕しだいなんだ。
「施工管理ってよく聞くけど、実際どんな仕事?」「現場監督と何が違うの?」と思っていませんか。
この記事では、建築の施工管理10年目の私が、施工管理の仕事内容を、図解と現場の体験談をまじえてやさしく解説します。
この記事でわかること
- 施工管理の意味と、「現場監督」「設計」「工事監理」とのちがい
- 4大管理(QCDS)の中身
- 施工管理の1日の流れ
- 必要な資格と、向いている人
この記事を書いた人:Kaguya(建築の施工管理10年目。事務所・図書館・ホテル・店舗・娯楽施設などの現場を担当。2級建築施工管理技士・二級建築士)
施工管理とは?ひとことで言うと
施工管理とは、建物を「図面どおりの品質で、予算の範囲内で、決められた工期までに、安全に」完成させるために、工事全体をまとめる仕事です。
建物は、鉄筋屋さん・型枠大工さん・電気屋さんなど、たくさんの専門の職人さんが力を合わせてつくります。施工管理は、その全員がムダなく、安全に働けるように段取りを整えるのが役目です。
たとえるなら、オーケストラの指揮者。自分では楽器を弾かないけれど、全体をまとめて一つの作品に仕上げます。



指揮者かぁ。
なんだかカッコいいですね!



指揮者が迷うと、全員の手が止まっちゃう。
だから準備がとても大事なんだ。
「現場監督」とのちがい
結論からいうと、ほぼ同じ意味で使われます。会社や人によって呼び方がちがうだけ、と考えてOKです。
あえて分けるなら、次のようなイメージです。
- 現場監督:現場で職人さんに指示を出したり、作業を見守ったりする姿をイメージした呼び方
- 施工管理:現場の仕事に加えて、工程表づくり・発注・書類作成などの事務仕事もふくめた、仕事全体を指す呼び方
「設計」「工事監理」とのちがい
建物づくりには、施工管理のほかに「設計」と「工事監理」という役割があります。名前が似ていてまぎらわしいので、整理しておきましょう。


| 役割 | だれが | 何をする |
|---|---|---|
| 設計 | 設計事務所など | 建物の図面をつくる |
| 工事監理 | 建築士(設計事務所など) | 工事が図面どおりに行われているかを確認する |
| 施工管理 | 施工会社(ゼネコン・工務店など) | 図面どおりに建物をつくるため、現場をまとめる |
ずかんメモ:「監理」と「管理」は、どちらも「かんり」と読みます。そこで現場では、工事監理を「さらかん」(皿がある「監」)、施工管理を「たけかん」(竹かんむりの「管」)と呼び分けることがあります。
施工管理の4大管理(QCDS)
施工管理の仕事は、大きく4つの管理に分けられます。英語の頭文字をとって「QCDS(キュー・シー・ディー・エス)」とも呼ばれます。


品質管理(Q:Quality)
図面や仕様書どおりの品質で、建物ができているかを管理します。
- コンクリートの強度の試験
- 鉄筋の太さ・本数・間隔の検査(配筋検査)
- 仕上がりのチェックと、写真での記録
現場の体験談:屋根を葺き終えたあとに雨漏りが見つかり、その対応をしたことがあります。原因は、縦ハゼ葺き(金属の屋根板のつなぎ目を折り曲げて、噛み合わせて留める葺き方)の噛み合わせが一か所しっかり噛んでおらず、そのすき間から雨水が入り込んでいたことでした。晴れた日にホースで屋根の上から水をかけて、水が漏れてくる場所を突き止めました。屋根葺きに慣れた職人さんでも、たった一か所の見落としで大きな影響が出ます。屋根がどれだけ大事な部分か、あらためて学んだ出来事でした。
雨漏りのように、完成してから見つかる不具合は、直すのがとても大変です。だからこそ、工事の途中で一つひとつ確認していくことが大切です。
屋上やバルコニーの防水については、防水工事とは?の記事でくわしく解説しています。
原価管理(C:Cost)
決められた予算の中で工事を終えられるように、お金の出入りを管理します。
- 材料や職人さんの発注
- 見積もりの比較
- やり直し(手戻り)を減らす工夫
現場の体験談:生コン(工場で練り混ぜて、現場に運んでくるコンクリート)の数量を間違えてしまったことがあります。打設(コンクリートを流し込む作業)の終盤は、寸法を測りながら「あと何㎥入るか」を計算するのですが、残りの量を多めに見込んでしまい、生コン車1台分を余らせてしまいました。余った生コンは、処分費が余計にかかってしまいます。それ以来、躯体図(柱・梁・壁など、建物の骨組みの寸法を描いた図面)を描いた段階で数量をしっかり拾い、その数量を基本に考えるようにしています。躯体図の段階で拾った数量から、大きく変わることはほとんどないからです。
反対に足りなければ、その日の打設が途中で止まってしまうこともあります。図面から必要な量を前もって計算しておく「数量の拾い」は、ムダを防ぐための基本です。
工程管理(D:Delivery)
決められた工期(完成の期日)に間に合うように、工事の順番と日程を管理します。
- 工程表づくり
- 職人さんの手配
- 天候などによる遅れの調整
現場の体験談:工期に間に合わせるため、外構工事(建物のまわりの駐車場・植栽・フェンスなどの工事)に2つの業者さんに入ってもらい、同時に進めることで間に合わせたことがあります。
遅れを取り戻す方法には、「人を増やす」「作業の順番を入れ替える」「同時に進められる作業を探す」などがあります。遅れに早く気づくほど、打てる手は増えます。
工程表の種類や読み方は、工程表の種類とは?バーチャートとネットワーク工程表の違いの記事で、図解つきでくわしく解説しています。
安全管理(S:Safety)
現場で働くすべての人が、ケガなく無事に家に帰れるようにする管理です。4つの中で、いちばん大切な管理と言っても言いすぎではありません。
- 朝礼やKY活動(危険予知活動)
- 足場や手すりの点検
- 安全パトロール
安全管理は「何も起きないこと」が成果です。目立たないけれど、毎日の積み重ねがものをいう管理です。
ずかんメモ:騒音・振動・ほこりをおさえたり、ゴミを分別したりする「環境管理(E:Environment)」を加えて、「5大管理(QCDSE)」と呼ぶこともあります。
施工管理の1日の流れ
私のある1日を例に紹介します(現場の状況によって変わります)。


| 時間 | やること |
|---|---|
| 7:30 | 現場に到着 |
| 8:00 | 朝礼。その日の作業内容と注意点を全員で共有 |
| 〜12:00 | 午前の業務(現場の巡回、職人さんへの指示、検査など) |
| 12:00 | 昼休憩 |
| 13:00 | 職長打ち合わせ。各業者のリーダー(職長)と段取りを調整 |
| 〜17:00 | 午後の業務 |
| 〜17:30 | 現場の片付け |
| 〜19:00 | 書類作成(工程表、写真の整理、発注など) |



現場が終わったあとに、書類作成もあるんですね…!



そうなんだ。
現場の動きと書類はセットだから、どちらも大切な仕事だよ。
会議や休みのとり方もふくめた、もっとくわしい1日の流れは、施工管理の1日の流れとは?の記事で紹介しています。
新人1年目に大変だったこと
新人のころにいちばん大変だったのは、職人さんから工程や納まり(部材と部材のつなぎ目を、どう仕上げるか)について質問されることでした。
職人さんは全員がはじめましての人たちで、相手からすれば、私が新入社員だということはわかりません。現場に立てば、新人でも一人の「監督さん」として見られます。わからないことを聞かれたときは、その場であいまいに答えず、「先輩に確認してきます」と職人さんに伝えて、先輩に聞きに行くことが大切です。もちろん、その場で答えられるように、ふだんから施工図(実際に工事をするために、細かい納まりや寸法まで描いた図面)を見る習慣をつけておきましょう。
そして、確認できたら必ず答えを持って職人さんのところへ戻りましょう。その積み重ねで、少しずつ現場で頼られる監督になっていきます。
施工管理に必要な資格
施工管理の仕事は、資格がなくても始められます。ただし、国家資格の「建築施工管理技士」を持っていると、任される仕事の幅が大きく広がります。
| 資格 | できること(主なもの) |
|---|---|
| 1級建築施工管理技士 | 大きな工事で必要な「監理技術者」になれる |
| 2級建築施工管理技士 | 工事ごとに必要な「主任技術者」になれる |
試験は「第一次検定」と「第二次検定」の2段階です。令和6年度から受検資格が見直され、第一次検定は、1級なら19歳以上、2級なら17歳以上(受検する年度の末時点)であれば、実務経験がなくても受けられるようになりました。第一次検定に合格すると「施工管理技士補」の称号が得られます。
受検資格は変わることがあるので、最新の情報は試験を実施している建設業振興基金の受検案内で確認してください。
私も2級建築施工管理技士と二級建築士を持っていて、1級建築施工管理技士は来年の取得を目指して勉強中です。
施工管理のやりがいと、向いている人
私がいちばんうれしいのは、建物が完成して、きれいになった姿を見られる瞬間です。たくさんの職人さんと一緒につくった建物の竣工写真(完成した建物の写真)が手元に残るのも、この仕事ならではの楽しみです。
施工管理に向いているのは、次のような人です。
- ものづくりに意欲的な人
- 年齢に関係なく、コミュニケーションが取れる人(幅広い年代の職人さんと一緒に働きます)



自分にもできるかなぁ…。



最初から全部できる人なんていないよ。
わからない用語は、このずかんで一つずつ覚えていこう!
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 | ちがいのポイント |
|---|---|---|
| 施工管理 | 工事全体をまとめる仕事 | 施工会社が行う |
| 工事監理 | 工事が図面どおりかを確認する仕事 | 建築士が行う |
| 現場監督 | 施工管理とほぼ同じ | 現場での指示に重きを置いた呼び方 |
| 施工管理技士 | 施工管理の国家資格 | 1級と2級がある |
まとめ
- 施工管理は、工事全体をまとめる「現場の指揮者」
- 中心は、品質・原価・工程・安全の4大管理(QCDS)
- 資格がなくても始められるが、建築施工管理技士を取ると活躍の場が広がる
最後に、これから施工管理を目指す人、新人のみなさんへ。
常に新しい知識を取り入れることを考え、現場をさらに良くすることを心がけて、仕事に取り組んでもらえたらうれしいです。
施工管理ずかんでは、現場で使う用語を一つずつ、図解でやさしく解説していきます。わからない用語があったら、ぜひまたのぞきに来てください。
理解度チェック
Q1. 施工管理の「4大管理」を4つ答えてください。
答え:品質管理・原価管理・工程管理・安全管理です。英語の頭文字をとって「QCDS」と呼びます。
Q2. 「施工管理」と「工事監理」のちがいは?
答え:施工管理は、施工会社が工事全体をまとめる仕事です。工事監理は、建築士が「工事が図面どおりに行われているか」を確認する仕事です。
Q3. 4大管理に「環境管理」を加えたものを、何と呼ぶでしょう?
答え:5大管理(QCDSE)です。






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