ずかんカード
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 用語 | 工事写真(こうじしゃしん) |
| 英語 | Construction Photos |
| ひとことで | 工事を正しく行ったことを証明するために、黒板といっしょに撮る記録の写真 |
| 関連用語 | 電子小黒板/全景・近景/工事写真台帳/中間検査/竣工検査 |
| よく聞く度 | ★★★★★ |
この記事の要点
- 工事写真は、工事を正しく行ったことの証明。とくに、仕上がると隠れてしまう部分は写真でしか確認できない
- 撮るときは、背景をシンプルに、スケールを当てて、全景と近景を撮る
- 電子黒板は、前日までに作っておくと、当日あわてずにすむ
ルーキー工事写真って、とりあえずたくさん撮ればいいんですか?



たくさん撮るのも大事だけど、「あとで見て、正しく施工したことがわかる写真」を撮ることがもっと大事なんだ。
撮り方にはコツがあるよ。
「工事写真の黒板には何を書けばいいの?」「どんな写真を撮ればいいの?」と思っていませんか。
この記事では、建築の施工管理10年目の私が、工事写真の役割、黒板の書き方、撮り方のコツ、必ず撮る写真、整理と提出の流れを、図解でやさしく解説します。
この記事でわかること
- 工事写真の役割
- 電子小黒板に書くこと
- 撮り方のコツ
- 必ず撮る写真と、撮っておいてよかった写真
- 整理と提出の流れ
工事写真とは?
工事写真とは、工事を正しく行ったことを証明するための写真です。黒板(工事名や撮った場所などを書いたもの)といっしょに撮ります。
建物が完成すると、鉄筋や壁の中など、見えなくなってしまう部分がたくさんあります。そうした部分は、あとから目で見て確認することができません。だからこそ、工事写真が「正しく施工した証明」になります。
ずかんメモ:公共建築工事標準仕様書でも、仕上がると隠れてしまう部分の施工や、一工程の施工が終わったときなどには、工事写真などの記録を整備することになっています。
私が使っている道具
私の現場では、次の道具を使っています(どれも会社の支給品です)。
| 道具 | 使い方 |
|---|---|
| スマホ(iPhone)・タブレット(iPad) | 工事写真を撮る |
| 工事写真アプリ(蔵衛門カメラ) | 電子小黒板を表示して撮影する |
| 写真整理アプリ(蔵衛門御用達) | 撮った写真を整理して、写真台帳を作る |
電子小黒板とは、スマホやタブレットの画面に表示する黒板のことです。木の黒板を持ち歩かなくてよく、字もきれいに読めます。
ずかんメモ:工事写真アプリには、撮った写真があとから書き換えられていないことを確認できる機能がついているものもあります。
電子小黒板に書くこと
私の現場の電子小黒板は、上に「工事名・工種・測点」の3つの欄があり、その下の広い欄に、施工状況や寸法などを書く形になっています。


| 欄 | 項目 | 書くこと(例) |
|---|---|---|
| 上の欄 | 工事名 | ○○ビル新築工事 |
| 上の欄 | 工種 | 鉄筋工事 |
| 上の欄 | 測点(撮影した場所) | 2階 床 X1〜X2通り/Y1〜Y2通り |
| 下の広い欄 | 施工状況 | 配筋検査 |
| 下の広い欄 | 寸法 | D13@200 など |
| 下の広い欄 | 日付 | 撮影した日 |
| 下の広い欄 | 立会者 | 検査に立ち会った人 |
| 下の広い欄 | 施工者 | 施工した業者さん |
ずかんメモ:測点は、通り芯(建物の基準の線)の番号などで、「どこを撮ったか」がわかるように書きます。
撮り方のコツ
私が撮るときに気をつけていることは、次の5つです。


| コツ | 内容 |
|---|---|
| 背景をシンプルに | 写真台帳にまとめたときに見やすいように、ごちゃごちゃした背景を避ける |
| スケールを当てる | 寸法がわかるように、スケール(メジャー)を当てて撮る |
| 全景と近景を撮る | どこを撮ったかがわかる「全景」と、くわしく見える「近景」の両方を撮る |
| 明るさ | 暗い場所では、ライトを当てるなどして、はっきり写るようにする |
| 水平・垂直に撮る | カメラを傾けずに、まっすぐ撮る |



背景まで気にするんですね!



そうなんだ。
写真台帳にたくさん並べたときに、すっきりした写真のほうが、見る人にとってわかりやすいんだよ。
必ず撮る写真


私の現場で、必ず撮っている写真は次のとおりです。
- 施工前・施工中・施工後
- 隠れてしまう部分(壁の中、天井の中、コンクリートの中の鉄筋など)
- 検査の状況(配筋検査など)
- 材料の搬入(材料が正しいものかがわかるように)
- 解体前・解体後(解体工事の範囲を明確にするため)
配筋検査の写真については、配筋検査とは?の記事でくわしく解説しています。
現場全体の様子も撮っておこう
工事写真に加えて、現場の状況がわかるように、全体を撮っておくと、あとで確認するときにとても助かります。
たとえば、界壁(となりの住戸との境の壁)の部分です。完成後の竣工検査では、天井の点検口から天井裏をのぞいて、界壁が天井裏まで立ち上がっているかを確認することがあります。そのとき、施工中の全体の写真があると、写真で確認できるので、検査がスムーズに進みます。
界壁については、LGS(軽量鉄骨下地)とは?の記事でくわしく解説しています。



点検口からだと、よく見えないこともありそうですね…。



そうなんだ。
だから、見えるうちに写真を撮っておくことが大切なんだよ。
整理と提出の流れ


アプリで自動整理して、自分で確認する
撮った写真は、アプリで自動で整理されます。そのあと、自分で確認して、まちがいがあれば修正します。
検査で確認して、提出する
工事写真は、監理者と施主に提出します。私の現場では、次のように確認してもらっています。
| タイミング | 確認する写真 |
|---|---|
| 中間検査 | 躯体(骨組み)関係の写真 |
| 竣工検査 | 躯体より後の工事の写真 |
確認してもらって問題がなければ、提出します。
新人に伝えたいこと
工事写真は「正しく施工した証明」
工事写真は、工事を正しく行ったことの証明です。見えなくなる部分は、写真でしか確認できません。しっかり撮りましょう。
電子黒板は、前日までに作っておこう
撮影の当日に黒板を作っていると、忙しくなるうえに、黒板のまちがいも起きやすくなります。前日までに電子黒板を作って、準備しておきましょう。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 | ちがいのポイント |
|---|---|---|
| 工事写真 | 工事を正しく行ったことを証明する写真 | 黒板といっしょに撮る |
| 電子小黒板 | スマホやタブレットに表示する黒板 | 木の黒板を持ち歩かなくてよい |
| 全景 | どこを撮ったかがわかる、広い範囲の写真 | 場所がわかる |
| 近景 | くわしく見える、近づいて撮った写真 | 寸法や納まりがわかる |
| 写真台帳 | 工事写真をまとめた資料 | 監理者・施主に提出する |
| 中間検査・竣工検査 | 工事の途中と完成時に行う検査 | 中間は躯体、竣工は躯体より後の写真を確認 |
まとめ
- 工事写真は、工事を正しく行ったことの証明。隠れてしまう部分は写真でしか確認できない
- 電子小黒板には、工事名・工種・測点と、施工状況・寸法・日付・立会者・施工者を書く
- 撮るときは、背景をシンプルに、スケールを当てて、全景と近景を、水平・垂直に
- 施工前・中・後、隠れる部分、検査、材料の搬入、解体前・後を必ず撮る
- 電子黒板は前日までに作り、撮った写真はアプリで整理して自分でも確認する
工事写真は、完成したあとも残り続ける、工事の大切な記録です。「あとで見る人にわかる写真」を意識して撮っていきましょう。
理解度チェック
Q1. 工事写真が特に大切になるのは、どんな部分?
答え:仕上がると隠れてしまう部分です(壁の中、天井の中、コンクリートの中の鉄筋など)。
Q2. どこを撮ったかがわかる広い範囲の写真と、くわしく見える写真を、それぞれ何と呼ぶ?
答え:全景と近景です。
Q3. 撮影当日に黒板のまちがいを防ぐために、何をしておくとよい?
答え:前日までに電子黒板を作っておくことです。






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