ずかんカード
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 用語 | かぶり厚さ(かぶりあつさ) |
| 英語 | Concrete Cover |
| ひとことで | いちばん外側の鉄筋の表面から、コンクリートの表面までの距離 |
| 関連用語 | 配筋検査/スペーサー/設計かぶり厚さ |
| よく聞く度 | ★★★★★ |
この記事の要点
- かぶり厚さは、いちばん外側の鉄筋からコンクリート表面までの距離
- かぶり厚さが足りないと、鉄筋がさびて、建物が長持ちしなくなる
- 最小のかぶり厚さは、法律(建築基準法施行令)で部位ごとに決められている
ルーキーかぶり厚さって、鉄筋にコンクリートを「かぶせる」厚さのことですか?



その通り!
鉄筋を守るための、コンクリートの「よろい」の厚さなんだ。
「かぶり厚さって何?」「配筋検査では、どこを見ればいいの?」と思っていませんか。
この記事では、建築の施工管理10年目の私が、かぶり厚さの意味と必要な理由、配筋検査で確認するポイントを、図解と現場の体験談をまじえてやさしく解説します。
この記事でわかること
- かぶり厚さの意味と、なぜ必要なのか
- 部位ごとに決められた、最小のかぶり厚さ
- かぶり厚さが不足しやすい場所と、その対策
- 配筋検査の流れと、確認のコツ
かぶり厚さとは?
かぶり厚さとは、鉄筋コンクリートの中にある鉄筋のうち、いちばん外側にある鉄筋の表面から、コンクリートの表面までの距離のことです。


ここで大事なのは、測るのが「いちばん外側の鉄筋」からだという点です。梁や柱では、太い主筋のさらに外側を、あばら筋や帯筋(主筋を囲む細い鉄筋)が囲んでいます。かぶり厚さは、この外側の細い鉄筋から測ります。
かぶり厚さはなぜ必要?
かぶり厚さには、主に3つの役割があります。
- 鉄筋をさびから守る:コンクリートはアルカリ性で、中の鉄筋をさびにくくしています。かぶりが薄いと、空気や水が鉄筋まで届きやすくなり、さびてしまいます
- 火事から鉄筋を守る:鉄筋は熱に弱いので、コンクリートの厚みで熱が伝わるのを遅らせます
- 鉄筋とコンクリートをしっかりくっつける:まわりに十分なコンクリートがあることで、鉄筋とコンクリートが一体となって力を受け止められます
鉄筋がさびると、さびでふくらんだ鉄筋がコンクリートを内側から押し割ってしまいます。かぶり厚さは、建物を長持ちさせるための大事な寸法です。
部位ごとの最小かぶり厚さ
最小のかぶり厚さは、建築基準法施行令第79条で、部位ごとに決められています。


| 部位 | 最小かぶり厚さ |
|---|---|
| 耐力壁以外の壁・床 | 2cm以上 |
| 耐力壁・柱・はり | 3cm以上 |
| 直接土に接する壁・柱・床・はり、布基礎の立上り部分 | 4cm以上 |
| 基礎(布基礎の立上り部分を除く) | 6cm以上(捨てコンクリートの部分を除く) |
ずかんメモ:実際の工事では、法律の数値(最小かぶり厚さ)に、施工のばらつきを見込んで10mmを加えた「設計かぶり厚さ」で鉄筋を組むのが一般的です。どの部位を何mmにするかは、標準仕様書と構造図で必ず確認しましょう。
かぶり厚さを確保する「スペーサー」
鉄筋と型枠のあいだに一定のすき間を保つために入れる部材を、スペーサーといいます。スペーサーの大きさが、そのままかぶり厚さになります。
スペーサーの種類や入れる間隔は、標準仕様書に決められています。私の現場では、標準仕様書のとおりに入れています。
ちょっとした工夫として、パネコート(表面を塗装した、コンクリートの仕上がりがきれいになる型枠用の板)を使うスラブ(床)では、脚の部分が樹脂でコーティングされた鋼製スペーサーを使っています。脚がむき出しの鋼製スペーサーだと、型枠を外したあとのスラブの下面に、さびが出てしまうことがあるからです。
かぶり厚さが不足しやすい場所
現場で、かぶり厚さが不足しやすいのは、次のような場所です。


- 開口まわり:あんこ材(サッシの額縁が当たらないように、開口部に欠き込みをつくるために仕込む型枠やスタイロ)が入る場所や、窓下の水勾配(サッシの水切りが当たらないように、室内側から屋外側へ下げる傾き)をとる部分
- スリーブまわり:配管を通すための筒(スリーブ)のまわり
- 柱と梁が交わる部分:鉄筋が集まって混み合うため、外側に寄りやすい
かぶり不足を見つけたときの対処
梁でかぶり不足を見つけたときは、型枠を締め固めたあとに、単管(鉄のパイプ)を使って鉄筋をこじって寄せ、コンクリート製のスペーサーを噛ませて直します。
開口まわりは、開口の型枠を取り付けたときに、その場でかぶり厚さを確認するようにしています。
配筋検査でかぶり厚さを確認する方法
測る場所:いちばん外側の鉄筋から型枠まで
配筋検査では、スケールを使って、いちばん外側の鉄筋の表面から、型枠までの寸法を測ります。
離れて全体を見る
1か所ずつ測るだけでなく、少し離れて全体を見ることも大切です。型枠と鉄筋の距離が近いところがないかを、ひと目で探せます。



近くで測るだけじゃなくて、離れて見るのも大事なんですね!



そうなんだ。
近づきすぎると、全体のゆがみに気づけないことがあるからね。
配筋検査の流れ
配筋検査は、何段階にも分けて行います。私の現場では、次の順番です。


- ①鉄筋屋さんの自主検査
- ②自社(施工会社)の検査
- ③監理者の検査
- ④現場によっては、デベロッパー(建物の発注者側)の検査
配筋検査のチェックポイントや写真の撮り方については、配筋検査とは?の記事でくわしく解説しています。
コンクリート打設中に気をつけること
配筋検査に合格しても、コンクリートを打設するときに鉄筋が動いてしまっては意味がありません。打設中は、次のことに気をつけています。
- スラブの配筋を乱さない:メッシュロード(鉄筋の上に敷く、歩くための通路材)で、メインの通路をつくる
- ポンプの配管で鉄筋をゆらさない:コンクリートを送る配管は「馬」(配管を鉄筋から浮かせて支える台)に載せ、圧送のときの激しい振動で、鉄筋を留めている結束線が切れるのを防ぐ
生コンが現場に届いたときの受入検査については、スランプとは?生コンの受入検査の流れと合格基準の記事でくわしく解説しています。
新人がかぶり厚さを見るときのコツ
部位ごとのかぶり厚さを、標準仕様書と構造図で確認する
基礎や上の階の躯体など、部位によって必要なかぶり厚さは変わります。検査の前に、標準仕様書と構造図で確認しておきましょう。
柱記号・梁記号が同じでも、施工図を確認する
地中や外壁の面では、ふかし(仕上げや防水などのために、コンクリートを外側に厚くすること)が出てくることがあります。そのため、柱記号や梁記号が同じでも、スペーサーの大きさが変わることがあります。施工図で確認するクセをつけましょう。



同じ記号なのに、スペーサーが違うこともあるんですね…。



そうなんだ。
だからこそ、図面を確認する習慣が大切なんだよ!
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 | ちがいのポイント |
|---|---|---|
| かぶり厚さ | いちばん外側の鉄筋の表面から、コンクリート表面までの距離 | 主筋ではなく、外側の鉄筋から測る |
| 最小かぶり厚さ | 法律で決められた、かぶり厚さの最小値 | 建築基準法施行令第79条 |
| 設計かぶり厚さ | 施工のばらつきを見込んで、最小かぶり厚さに10mmを加えた寸法 | 実際に鉄筋を組むときの目標 |
| スペーサー | 鉄筋と型枠のあいだのすき間を保つ部材 | 大きさがかぶり厚さになる |
| ふかし | コンクリートを外側に厚くすること | スペーサーの大きさが変わる原因になる |
まとめ
- かぶり厚さは、いちばん外側の鉄筋からコンクリート表面までの距離
- 鉄筋をさびや火事から守り、建物を長持ちさせるために必要
- 開口まわり・スリーブまわり・柱と梁が交わる部分は、かぶり不足が起きやすい
- 配筋検査では、スケールで測るだけでなく、離れて全体を見る
- 打設中も、メッシュロードや馬で鉄筋を乱さないように守る
かぶり厚さは、完成すると見えなくなってしまう部分です。だからこそ、コンクリートを打つ前の確認が大切です。
理解度チェック
Q1. かぶり厚さは、どの鉄筋から測りますか?
答え:いちばん外側の鉄筋(梁ならあばら筋、柱なら帯筋など)の表面から、コンクリート表面までを測ります。
Q2. 建築基準法施行令で、柱や梁の最小かぶり厚さは何cm以上?
答え:3cm以上です。
Q3. 鉄筋と型枠のあいだにすき間を保ち、かぶり厚さを確保する部材を何と呼ぶ?
答え:スペーサーです。






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