ずかんカード
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 用語 | 呼び強度(よびきょうど) |
| 英語 | Nominal Strength |
| ひとことで | 生コン工場に注文するときの、コンクリートの強さの区分 |
| 関連用語 | 設計基準強度/構造体強度補正値/配合計画書 |
| よく聞く度 | ★★★★☆ |
この記事の要点
- 設計基準強度(Fc)は、構造設計で決める「建物に必要な強さ」
- 呼び強度は、生コン工場に注文するときの強さ。Fcに、気温などによる上乗せ分(構造体強度補正値)を足して決める
- 上乗せ分は打設する時期で変わるので、打設のたびに配合計画書を確認することが大切
ルーキー構造図には「Fc24」と書いてあるのに、生コン伝票は「27」になっていました。
間違いですか?



いいところに気づいたね!
それは間違いじゃないんだ。
今日はその理由を説明しよう。
「設計基準強度と呼び強度は何が違うの?」「なぜ伝票の数字は図面より大きいの?」と思っていませんか。
この記事では、建築の施工管理10年目の私が、コンクリートの強さに関する用語の違いと、生コン伝票の見方を、図解と現場の体験談をまじえてやさしく解説します。
この記事でわかること
- 設計基準強度と呼び強度の違い
- 図面の数字より、注文する数字が大きくなる理由
- 生コン伝票(配合計画書)の呼び方の読み方
- 強度を確かめる圧縮強度試験と、新人が気をつけること
設計基準強度(Fc)とは?
設計基準強度とは、構造設計で決める、建物に必要なコンクリートの強さのことです。記号で「Fc(エフシー)」と書き、構造図に「Fc24」のように書かれています。
24という数字は、1mm²あたり24N(ニュートン)の力に耐えられる強さ(24N/mm²)という意味です。
呼び強度とは?
呼び強度とは、生コン工場に注文するときの、コンクリートの強さの区分です。生コンの日本産業規格(JIS A 5308)で決められていて、「27」「30」のように単位をつけずに呼びます。
生コン工場は、この呼び強度にN/mm²をつけた強さ(たとえば27N/mm²)を保証します。保証の基準になるのは、ふつう28日後の強さです。
Fc24なのに、呼び強度が27になる理由
図面は「Fc24」なのに、注文する呼び強度が「27」になるのは、現場の条件による強さの差を、あらかじめ上乗せしておくからです。


私の現場の配合計画書では、次のような用語を使っています。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 設計基準強度(Fc) | 構造計算で必要な強さ |
| 耐久設計基準強度(Fd) | 建物を使う期間(何年もたせるか)に応じて必要な強さ |
| 品質基準強度(Fq) | 設計基準強度と耐久設計基準強度の、大きいほう |
| 構造体強度補正値(S) | 試験体と、実際の建物のコンクリートとの強さの差を補う上乗せ分 |
| 調合管理強度(Fm) | 品質基準強度に構造体強度補正値を足した強さ。建築では、これを呼び強度として注文する |
たとえば、Fc24で、補正値が3なら「24+3=27」で、呼び強度は27になります。
ずかんメモ:強さの用語は、日本建築学会の標準仕様書(JASS 5)の版によって、使う言葉や考え方が少し違うことがあります。必ず、その現場の仕様書と配合計画書で確認しましょう。
構造体強度補正値は、季節で変わる
構造体強度補正値は、コンクリートを打つ時期の気温によって変わります。


- 寒い時期:コンクリートの強さが出にくいので、補正値が大きくなり、呼び強度が高くなる
- 暑い時期(暑中):長い目で見ると強さが伸びにくいので、補正値が大きくなることがある
私の現場でも、冬は補正値が大きくなるので、呼び強度が高くなります。



同じ建物でも、打つ季節によって注文する強さが変わるんですね!



そうなんだ。
だから、打設のたびに「今の時期の補正値はいくつか」を確認する必要があるんだよ。
生コン伝票の見方(生コンの呼び方)
生コンは、伝票や配合計画書に「普通 27 18 20 N」のような書き方で表されます。これを「生コンの呼び方」といいます。


| 表記 | 意味 | 例の読み方 |
|---|---|---|
| 普通 | コンクリートの種類 | 普通コンクリート |
| 27 | 呼び強度 | 27N/mm²の強さ |
| 18 | スランプ(cm) | やわらかさ18cm |
| 20 | 粗骨材(砂利)の最大寸法(mm) | 砂利の大きさは最大20mm |
| N | セメントの種類 | 普通ポルトランドセメント |
私の現場では、たとえば次のような生コンを使います。
- 捨てコンクリート:普通 18 15 20 N
- 基礎のコンクリート:普通 27 18 20 N(Fc24+補正値3)
捨てコンクリート(基礎の下に薄く打つ、墨出しなどのための下地のコンクリート)は、建物の強さには関係しないので、呼び強度は低めです。
ずかんメモ:セメントの記号は、Nのほかに、BB(高炉セメントB種)、H(早強ポルトランドセメント)などがあります。
配合計画書とは?
配合計画書とは、生コン工場が作る、生コンの「設計書」のような書類です。呼び方、使う材料、配合(1m³あたりの材料の量)などが書かれています。
私の現場では、次の流れで進めます。


- ①現場が始まるときに、生コン業者さんに配合計画書を作ってもらう
- ②配合計画書を監理者に承認してもらう
- ③打設のたびに打設計画書を作り、配合計画書を確認して、打設計画書を生コン工場(プラント)へ共有する
- ④打設の日に受入検査をして、試験体を採取する
- ⑤7日・28日(4週)の圧縮強度試験の結果を確認する
ずかんメモ:配合計画書には、丸い「マル適マーク」のシールが貼ってあることがあります。品質管理の監査に合格した生コン工場の目印です。
圧縮強度試験で、強さを確かめる
打設の日に採取した試験体は、7日後と28日後(4週)に圧縮強度試験を行い、決められた強さが出ているかを確認します。
生コンの受入検査や試験体の採取については、スランプとは?生コンの受入検査の流れと合格基準の記事でくわしく解説しています。
冬は温度管理がとても重要
冬場は寒中コンクリートになり、コンクリートの強さが出にくくなります。そのため、打設したあとの温度管理がとても重要です。



寒いと、コンクリートってなかなか強くならないんですね…。



そうなんだ。
冬の打設は、補正値の確認と温度管理の両方を、いつも以上に気をつけよう。
新人が間違えやすいポイント
いちばん間違えやすいのは、打設の時期によって強度補正値が変わることです。
同じ部位の生コンでも、時期が変われば呼び強度が変わることがあります。間違いを防ぐために、次のことを習慣にしましょう。
- 打設計画書を作るたびに、配合計画書を確認する
- 打設計画書を、生コン工場(プラント)にも共有する
現場と工場の両方で確認しておけば、違う呼び強度の生コンが届くミスを防げます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 | ちがいのポイント |
|---|---|---|
| 設計基準強度(Fc) | 構造計算で必要な強さ | 構造図に書かれている |
| 品質基準強度(Fq) | FcとFdの大きいほう | 補正値を足す前の強さ |
| 調合管理強度(Fm) | 品質基準強度+構造体強度補正値 | 建築ではこれを呼び強度として注文する |
| 呼び強度 | 生コン工場に注文するときの強さの区分 | 伝票に書かれている(単位なし) |
| 構造体強度補正値(S) | 試験体と実際の建物の強さの差を補う上乗せ分 | 打設時期の気温で変わる |
まとめ
- 設計基準強度(Fc)は、構造設計で決める建物に必要な強さ
- 呼び強度は、生コン工場に注文するときの強さ。Fcに補正値を足して決める
- 補正値は打設時期の気温で変わり、冬は呼び強度が高くなる
- 生コン伝票の「普通 27 18 20 N」は、種類・呼び強度・スランプ・砂利の大きさ・セメントの種類
- 打設計画書を作るたびに配合計画書を確認し、生コン工場とも共有する
図面の数字と伝票の数字が違う理由がわかれば、現場で生コン伝票を見るのが楽しくなります。
理解度チェック
Q1. 構造図に書かれているFc24の「Fc」は、何という強さ?
答え:設計基準強度です。構造設計で決める、建物に必要なコンクリートの強さです。
Q2. Fc24で、構造体強度補正値が3のとき、呼び強度はいくつ?
答え:27です(24+3=27)。
Q3. 生コン伝票の「普通 27 18 20 N」の「18」は何を表している?
答え:スランプ(生コンのやわらかさ)18cmです。






コメント