スランプとは?生コンの受入検査の流れと合格基準を図解でやさしく解説

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スランプとは?生コンの受入検査を図解で解説

ずかんカード

項目内容
用語スランプ
英語Slump
ひとことで生コンのやわらかさを表す数値。コーンを引き抜いたときに、生コンが下がった高さ(cm)
関連用語受入検査/空気量/ジャンカ
よく聞く度★★★★★

この記事の要点

  • スランプは、生コンのやわらかさを表す数値。大きいほどやわらかい
  • 生コンが現場に着いたら、スランプ・空気量・塩化物量・温度を測る受入検査を行う
  • 現場で生コンに水を足すのは絶対にNG
ルーキー

スランプって、スポーツ選手の「不調」のことじゃないんですか?

かぐや監督

ははは、現場では生コンのやわらかさのことなんだ。
英語で「くずれ落ちる」という意味から来ているよ。

「スランプって何?」「受入検査では何を測るの?」と思っていませんか。

この記事では、建築の施工管理10年目の私が、スランプの意味と、生コンの受入検査の流れ・合格基準を、図解と現場の体験談をまじえてやさしく解説します。

この記事でわかること

  • スランプの意味と、測り方(スランプ試験)
  • 受入検査で測る項目と、合格の基準
  • 生コン車が来るたびに確認すること
  • 現場でやってはいけないこと
目次

スランプとは?

スランプとは、生コン(工場で練り混ぜて、現場に運んでくるコンクリート)のやわらかさを表す数値です。

数値が大きいほどやわらかく、小さいほど硬い生コンです。設計図(構造図)に「スランプ18cm」のように指定されています。

スランプの測り方(スランプ試験)

スランプは、次のような手順で測ります。

スランプコーンに生コンを詰めて引き上げ、下がった高さを測るスランプ試験の手順
  • ①スランプコーン(高さ30cmの、上がせまい筒)に、生コンを3回に分けて詰め、1回ごとに突き棒で25回ずつ突く
  • ②スランプコーンを、まっすぐ上に引き上げる
  • ③生コンの山が、もとの高さから何cm下がったかを測る。この下がった量がスランプです

たとえば、30cmの高さから18cm下がって、山の高さが12cmになれば「スランプ18cm」です。

スランプは大きければいい?小さければいい?

スランプは、大きすぎても小さすぎても困ります。

スランプが小さいとジャンカが出やすく、大きいと水が多く品質が下がりやすいことを示す図
  • スランプが小さい(硬い):型枠のすみずみまで回りにくく、ジャンカ(コンクリートが行き渡らず、砂利が集まってスカスカになった不良部分)が出やすい
  • スランプが大きい(やわらかい):打ちやすいが、そのぶん水が多い生コンになりやすく、強度や耐久性が下がるおそれがある

現場の工夫:15cm指定を18cmに提案することも

スランプの値は構造図で決まりますが、15cmの指定だと生コンの回りが悪く、ジャンカが出る可能性が高くなります。そのため、監理者に提案をして、18cmにしてもらうことがあります。

運搬に時間がかかると、スランプは小さくなる

生コンは、工場で練り混ぜた直後から少しずつ固まり始めます。運搬距離が長く、現場に着くまで1時間弱かかる現場もあり、そうした現場ではスランプが小さくなりやすく、管理が難しくなります。スランプが小さくなると、ジャンカが出やすくなります。

ルーキー

工場から遠いだけで、生コンの硬さが変わっちゃうんですね!

かぐや監督

そうなんだ。
だから、練り混ぜてからの時間はしっかり確認するんだよ。

生コンの受入検査とは?

受入検査とは、現場に届いた生コンが、注文どおりの品質かどうかを、荷卸しの場所で確かめる検査です。

私の現場では、試験業者さんが試験を行い、自社の所長や監理技術者が立ち会います。

受入検査で測る項目と合格基準

スランプ・空気量・塩化物量・温度を測り、合格したら試験体を採取する受入検査の流れ
項目何を見る?合格基準の例
スランプ生コンのやわらかさ指定が8〜18cmなら±2.5cm(例:18cm指定なら15.5〜20.5cm)※
空気量生コンに含まれる細かい空気の量(寒さで傷みにくくする)普通コンクリートで4.5%±1.5%(3.0〜6.0%)
塩化物量鉄筋をさびさせる塩分の量0.30kg/m³以下
温度生コンの温度標準仕様書の決まりによる

スランプ・空気量・塩化物量の基準は、生コンの日本産業規格(JIS A 5308)によるものです。温度は、標準仕様書の決まりに従います。現場ごとの基準は、必ず仕様書で確認してください。

※スランプの合格基準(許容差)は、指定するスランプの値だけでなく、コンクリートの強度(呼び強度)や使う混和剤によっても変わります。表の数値は一般的な例なので、実際の基準は仕様書とJIS A 5308で確認しましょう。

試験の順番は、試験屋さんにお任せしています。スランプ・空気量・塩化物量・温度の試験に合格したあとに、試験体(圧縮強度を確かめるためのコンクリートの見本)を採取します。試験体は、後日、コンクリートが決められた強さになっているかを確かめるのに使います。

コンクリートの強さの決まり方(設計基準強度や呼び強度)については、呼び強度と設計基準強度の違いの記事でくわしく解説しています。

工場で作るので、基本的には不合格にならない

生コンは工場で品質を管理して作っているので、基本的には受入検査で不合格になることはありません。だからこそ、運搬時間が長い現場のように、工場から現場までのあいだで品質が変わりやすい条件には注意が必要です。

生コン車が来るたびに確認すること

打設中は、生コン車が来るたびに、次のことを確認しています。

納入伝票・練り混ぜからの時間・生コンの状態・生コン車のまわりを確認する図
  • 納入伝票:コンクリートの数量と、何台目か
  • 練り混ぜてからの時間:工場で練り混ぜてから、どのくらい時間がたっているか
  • 生コンの状態:見た目で、いつもと違う様子がないか
  • 生コン車のまわり:次の生コン車がスムーズに入れて、打設の手が止まらずに打てるか

ずかんメモ:練り混ぜから打込み終了までの時間は、日本建築学会の標準仕様書(JASS 5)で、外気温が25℃未満なら120分、25℃以上なら90分が限度とされています。

現場でやってはいけないこと

生コンに水を加える(加水)

生コンが硬くて打ちにくいからといって、現場で水を加えるのは絶対にNGです。水が増えると、コンクリートの強度や耐久性が大きく下がってしまいます。

先送りモルタルを躯体に打ち込む

先送りモルタルとは、コンクリートを送るポンプの配管の中をすべりやすくするために、最初に流すモルタルのことです。この先送りモルタルは、躯体(建物の骨組み)の中に打ち込んではいけません。コンクリートとは性質が違うので、捨てるのが決まりです。

ルーキー

打ちにくいときに、ちょっとだけ水を足すのもダメなんですか…?

かぐや監督

ダメだよ!
少しの水でも強度は下がる。
打ちにくいときは、必ず所長や監理者に相談しよう。

新人が受入検査に立ち会うときのコツ

新人のうちは、まず工事写真の撮影で受入検査に立ち会うことが多いです。

写真を撮りながら、どんな検査をしているのか、合格の基準はいくつなのかを理解するようにしましょう。基準がわかっていれば、写真に写す数値の意味もわかり、ただの撮影係から一歩成長できます。

打ったあとのコンクリートを、乾燥や寒さから守る方法については、養生の種類とコンクリートの養生の記事でくわしく解説しています。

混同しやすい用語

用語意味ちがいのポイント
スランプ生コンのやわらかさ(下がった高さ)大きいほどやわらかい
スランプフロー生コンが横に広がった直径とてもやわらかい生コン(高流動コンクリートなど)で使う
空気量生コンに含まれる細かい空気の割合多すぎても少なすぎてもNG
ジャンカ生コンが行き渡らず、砂利が集まった不良部分「豆板」とも呼ぶ
先送りモルタルポンプの配管をすべりやすくするために最初に流すモルタル躯体には打ち込まない

まとめ

  • スランプは、生コンのやわらかさを表す数値。大きいほどやわらかい
  • 受入検査では、スランプ・空気量・塩化物量・温度を測り、合格したら試験体を採取する
  • 運搬に時間がかかる現場では、スランプが小さくなりやすいので注意
  • 生コン車が来るたびに、伝票・時間・状態・まわりの状況を確認する
  • 現場での加水と、先送りモルタルの打ち込みは絶対にNG

生コンは、一度打ってしまうとやり直しがききません。受入検査は、品質を守るための大事な「入り口」です。

理解度チェック

Q1. スランプが大きい生コンは、やわらかい? 硬い?

答え:やわらかい生コンです。スランプは、コーンを引き抜いたときに生コンが下がった高さなので、やわらかいほど大きく下がります。

Q2. 受入検査で、試験体を採取するのはいつ?

答え:スランプ・空気量・塩化物量・温度の試験に合格したあとです。

Q3. 生コンが硬くて打ちにくいとき、現場で水を足してもいい?

答え:ダメです。水を足すと、強度や耐久性が下がります。困ったときは、所長や監理者に相談しましょう。

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